奥州に学ぶ、これからの地域に大事な3つのこと

8日(金)、岩手の奥州で「奥州でワールドカフェなう!」 と題してワークショップを実施しました。
震災をきっかけに企画が始まり、新しく地域を見直すよい機会となりました。
オンラインツール、地域、対話と学ぶことが多かった、今回のワークショップ。
これからの地域、地域活性に重要な下記の三つのことを学びました。
1.地元のリーダーシップ
2.インターネット
3.アウトサイダー
詳細に入る前にまずは今回の企画の背景からご説明しましょう。
背景
311の震災を機に、被災地ではガソリン不足、食料不足が表面化。
岩手の奥州に住む阿部さん(@tetumame)が長山さん(@etu619)(ヤドノマドのリーダー、地域活性に興味あり)に声をかけ、
地域でカーシェアやコミュニティー活動をを進めるためにオンライン上のグループが立ち上がる。
阿部さんと長山さんとも会った事はなく、ネット上のやりとりから今回のグループは始まりました。
私はコミュニティー運営のお手伝いで長山さんに誘われ、グループに参加。
岩手と関東は離れているのでSkypeミーティングを実施。阿部さんから詳しいお話を伺い、3つほどポイントがでてきました。
1.シェアやコミュニティーを広げるためには、ネット上のコミュニケーションツールが必要
2.リアルであう場、コミュニティーを広げる必要がある
3.地域活性は一人ではできない。助けが必要
都内ではtwitterやFacebookを使っている人は多いですが、地方ではまだまだの様子。
ネットでコミュニケーションをしようにも、ネットは怖い、家にパソコンがないのもざらです。
そんな中でネットを使ってシェアのグループを作るのは至難の業。そこで出てきたアイデアが、リアルで顔を合わせて勉強会をしましょうというアイデア。
まずはワールドカフェをやって仲間を増やしましょうというのが今回の背景です。
先ほども書きましたが、今回の件で地域活性について学んだことは下記の3つ。
順に説明していきたいと思います。
1.地元のリーダーシップ
2.インターネット
3.アウトサイダー
1.地元のリーダーシップ
今回の企画は地元の阿部さんが中心となって実施。
彼がちらしを作り、PRをし、知り合いに声をかけて回っていました。私と長山さんは当日のプレゼンと対話がメインのサポート役です。
よく、地域活性というと行政が主導でやっていたり、よその地域からコンサルや専門家が入っていたりします。
私もあるコミュニティーデザインの本を読んでいたときに感じたことがありました。
それは、よその人は田舎を実験台にしているだけなんじゃない? という思い。
もちろん、地域の方が依頼をしてやっているのでしょうが、あまりに外の人の影響力、リーダーシップが強いとその人がいなくなったときに求心力がなくなる。
ある人は、その件に関して、「田舎をひっかきまわしてる」との表現もされていました。そうとる人もいるかもね。というのが、私も感じていたことでした。
やっぱり地域活性には、地元から声をあげて、声をあげた人がリーダーにならないとうまくいかない。
行政主導でもなくって、本当の地元の人からのボトムアップの声。
そこには地域を思う本音、なんとかしたいという熱い思いがある。
その言葉があるから人が動いたイベントでした。
2.インターネット
奥州と自分が住む横浜は距離が遠く、会ってミーティングをすることもできません。
メンバーには青森から参加された方もいらっしゃいます。
そこで活用したのがオンラインツールのサイボウズLiveとSkype。
Skypeで定期的にグループ通話で打ち合わせをし、当日の準備、資料作成はサイボウズLiveにアップするという進め方をしました。
ネットがあることで会わなくってもプロジェクトが進められるってスゴイことです。ネットがあることで「距離」という制約はなくなっています。
今回の企画がはじまったのもtwitterで阿部さんと長山さんが知り合ったのがきっかけで、ネットがあることでコラボレーションがどんどん進む時代になってきています。
少し話は変わりますが、当日のワールドカフェでもネットの重要性に気づく言葉をいただきました。
「奥州っていいところいっぱいある。でも、PRが下手なんだよね。。。」 と参加者。 私も長崎の佐世保市出身です。このPRが下手って地元に帰るとよく聞きます。
このPR下手って、ちょっといいわけのような気がしています。今はtwitterもUSTもブログもあります。そして、全部タダで使うことができるのです。
行政だけがPRするのではなく、地域を思う人、団体が主体的にソーシャルメディアを使うことでこの問題は解決できると感じました。
ただ、そこで問題となるのがITリテラシーの問題です。
田舎ではいまだに「twitterって何よ?」 という感じです。
だからこそ、リアルな勉強会などでITを教える人、わかりやすく伝えられる人も必要。リアルな場とネットの場をつなぐ人も重要になってくると思っています。
毎回会うのはめんどう、だけどつながりはほしい。という人は、今回のようなワークショップに出た後、継続的につながりをもてるソーシャルメディアの活用が必要だと思いました。
ネットは怖い、という言葉を良く聞きますが、ネットやソーシャルメディアの良い面も伝えていく必要ありますね。(良記事のご紹介:TECH SE7EN ソーシャルメディアで人のつながりが継続しやすくなった世界)
3.アウトサイダー
「田舎で人を集める秘訣。それは都会の人を呼ぶこと」
これはマーケティングを長年されていて、今は農業に取り組んでいる参加者の方からの言葉です。
田舎の人は田舎の人しかでないイベントには集まりません。これは私も田舎出身なのでわかります。
そこにあえて都会の人を呼ぶことで、イベントに新しい風が入ってきます。 その都会の人は、別に有名人でなくてもよいのです。
田舎の人は都会で何が起こっているかに興味津々。 東京からきました! 横浜からきました!ソーシャルメディアってよくわからないけど、楽しそう!と地元の人に思ってもらったら勝ちのようです。
これをあえて、よそ者(アウトサイダー)と呼びましょう。 地域の人はずーっと同じ場所にいるから、言いたくても言えないことが多々あります。
だけど、よそ者は言いたいことが言えます。このよそ者が言いたいことを自由に言うから、場の雰囲気が和むこともあります。
他の実例を挙げましょう。私の知り合いが自治会長をしていて、その地域でワールドカフェをやった際にお誘いを受けたことがありました。
会場には同じマンションに住む人たちばかり。そこになぜか私を含め、よそ者の兄ちゃんが3人チョコンと座っていました。
マンションに住む人達はいつも顔をあわせているけど、あまり話をしません。あとから聞いたところ、やはり今さら話をするのが恥ずかしかったらしいのです。
そこによそから来た若者が、「私、実はここに住んでないんですけど、このマンションいいですねー」とか、私「横浜から来ました!」とか勝手にしゃべってると、場が和み始めるのです。
そのよそ者が触媒になることで、話すきっかけができ始めるのです。
この二つのことから、アウトサイダーって必要だと感じています。ただし、1で書きましたがメインは地元の人。アウトサイダーはあくまでゲストという立場でです。
感想
「モノはそこらじゅうにある。だけど、つながりがない。」
これは参加者の方から聞いたハッとした一言です。その方は、NPOの理事をされている年配の方でした。
日本は豊かになって東京でも田舎でも、モノはそこらじゅうにあふれるようになった。
でも、豊かになればなるほどつながりがなくなっていった。 地域のつながりも、家族のつながりも。すごく腑に落ちた言葉でした。
ワールドカフェの中でも
「しゃべる場所がない」
「お茶をする人がいない」
「ゆっくりと話をする仲間がいない」
という声を聞きました。 これは年齢も地域も関係なく、みんなが思っていることだと感じています。
ワールドカフェででた面白い視点で、田舎のヤンキーがいなくなったとのコメントが。
田舎のヤンキーってバイクにのって、コンビ二にたむろってタバコ吸ってる。たまにファミレスでしゃべってるくらいのことしかしてない。
でも、この活動って実は今必要なんじゃないかと思っています。
何にもないけどドライブに行くつながり、コンビニでしゃべってるだけのつながり、ファミレスに集まるつながり。
今こそ「遊び」と「ムダ」と思えるゆるい場やつながりが必要。 大人のヤンキー活動しても面白いかもしれませんね。
また、これからの地域を考える上で重要な言葉も。
「10年後の地域は今のままでいい。変えたくない。だけど、何か足りない」
この言葉はすごいヒントになると思っています。モノはあふれて、施設やパークなどの場所(ハコモノ)はある。
つぎはそこをつなぐ、集めるなどのソフトな部分を充実させる必要があるのかもしれないです。
そこには地域の人のつながり、笑顔、顔の見える関係も。 答えはまだ見えてませんが、いい問いです。
最後に
変化を起こすのはみっつのモノが必要と言われています。
ワカモノ、ヨソモノ、バカモノの三つです。 これは企業変革の本で学んだことです。
ワカモノはその情熱で。
ヨソモノはしがらみを気にしない自由さで。
バカモノはクレイジーなくらいの行動力で
どれが欠けてもダメなのでしょう。 地域活性もこの三つの視点、メンバーをもとにすすめていければいいかと思います。
もっと情熱を、もっと自由に、そしてもっとクレイジーに行動していきたいと思います。
自由にしゃべれるコミュニティー、IDOBATA cafeもやっていこうと思います。
お会いした皆さま、ありがとうございました。
*奥州のワールドカフェのまとめはこちら
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